京都学派, 菅原潤(著), 株式会社 講談社, 2018. (Amazonリンク)
名前だけは聞いたことがあった京都学派や西田幾多郎。
近代以降の日本において唯一といっていいほど独自の東洋的な思想を発展させたという印象を持っており、日本について考えるときにいつかは経由するかなと思っていました。
大学といえば左翼思想と言われた時代に、なぜ戦争を擁護するほど愛国的になったのか。
その経緯が少しばかりわかる本でした。
彼らの本は読んだことがないので、実際にどのような哲学が展開されたのかは十分に理解できていないとは思いますが、
結果はどうあれ、現実と格闘し自分なりの答えを出そうとした熱意ある姿勢は伝わってきました。
また、京都学派の戦争擁護の反省として、日本を文化を創出し発信するポジ(正)の国ではなく、すべての文化を自国用に変容させるネガ(負)の国であるとする捉え方には感心しました。
世界各地で戦争が起き、隣国との関係も危ぶまれる中、過度に盲目的に愛国的になり過去の過ちを再度犯す前に、
一度京都学派に目を向けることは重要だと感じます。
Matephysi評価
★★★★☆
2024年9月26日