帝国大学の誕生, 中山茂(著), 株式会社 講談社, 2024. (Amazonリンク)
科学史研究者の中山茂先生が、現在の東京大学の前身で旧帝国大学の起源となった
帝国大学(1886年〜1897年)の成り立ちについて解説した本です。
当時の国内外の政治状況や統治者の思惑
作られ壊される制度とそれに影響されえる民衆の心理
そしてそれらが生み出す問題点
帝国大学をめぐる様々な歴史を丁寧にひも解くことで大学の過去を知ることができ、
現在の大学や教育の在り方について考えさせてくれる本でした。
西欧の大学が持つ「自由な学び」という学術が持つある種の理想が、
国家主導の制度設計が先行して人為的に作られたことによって生じる日本に特有のアカデミズムの窮屈さについて、
本書が出版された1977年やそれ以前から指摘されていたことには驚きました。
帝国大学が誕生してから100年以上たった今でも状況があまり変わっていないことを考えると、なんだか不思議な気分になります。
Matephysi評価
★★★☆☆