日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか 増補改訂版『日本”式”経営の逆襲』, 岩尾俊兵(著), 株式会社 光文社, 2023. (Amazonリンク)
昭和から平成にかけて世界を圧倒した日本企業で採用されていた仕組みや制度が、
現在アメリカの大企業を中心に注目を集めています。
一方で、今日の日本では改革の名の下に古き良き文化を破壊しながら、古きよきものを基礎に構成されたアメリカ式経営を取り入れようとし、文化的な違いからか結果的に経営が上手くいかないことが多いです。
この本では、そのような我々が漠然と感じている問題意識を明確化し、現在世界中で注目されている昔の日本企業にあった「強み」を確認するとともに、
なぜそのような「強み」を無視して自らの首を絞めるような行動を取ってしまうのかについて、
経営という観点から論じています。
ただ過去の栄光を美化するのではなく、
日本式経営のメリットとデメリットを論理的に明らかにし、
弱点をどのように保管するべきかを論じており、
現実的な議論が展開されています。
経営に関する本はどうしても自己啓発的な要素が強い印象がありますが、
この本は比較的学術に寄っているので最後まで真面目に読むことができました。
特に、シミュレーションを用いてイノベーションが起こるパターンを分析していた箇所は非常に面白かったです。
Matephysi評価
★★★☆☆
2024年10月24日