自閉症の現象学, 村上靖彦(著), 株式会社 勁草書房, 2008. (Amazonリンク)
語彙がやや難しく、読み解くのに時間がかかりましたが、
語感に慣れると理解できるようになりました。
自閉症の方が世界像を構築するメカニズムを、定型発達の方の世界像構築メカニズムの否定として記述することで
明らかにしようとする論考集でした。
非常に勉強になりました。
僕自身も自閉症スペクトラムの傾向があると精神科医に言われたことがあるので、
結論として記述される内容はむしろ当たり前で、その前段階として記される定型発達の方々の認識形式の方には驚きを感じました。また、視線触発や情動行動、現実の次元化という概念を足掛かりに展開される論には説得力がありました。
自閉症の方々が普通とは違う事を感じていながら、普通そのものを模索し続けるという二重の疎外に苦しんでいるということを
本書を通じて多くの人に理解していただければ、もっと生きやすい世の中になるのかなと思いました。
自閉症やフッサール哲学に興味がある方にはおすすめの一冊です。
Matephysi評価
★★★★☆
2024年10月6日